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#03

広島駅再開発プロジェクト

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広島駅再開発プロジェクト
広島駅周辺は、駅ビル整備とあわせて路面電車(広電)の乗り入れなど、街の動線そのものを更新する大規模プロジェクトが進行しています。
広成建設は、営業中の駅機能を維持しながら、線路近接エリアを含む建設工事に参画。多様な関係者との調整と、第三者安全を最優先にした施工管理で、“駅を止めない建設”を支えています。

プロジェクトの背景

広島駅周辺の整備は、駅ビルという建築物の新設・改修にとどまらず、駅利用者の流れそのものを組み替える、都市規模の再編プロジェクトです。鉄道(在来線・新幹線)と路面電車、バス、タクシーが集まる交通結節点としての機能に加え、商業施設・ホテル・イベントスペースなどの都市機能が一体となって更新され、広島の玄関口としての利便性とにぎわいの両立が求められています。特に路面電車の乗り入れを含む動線計画は、乗り換え時間の短縮や回遊性の向上につながる一方で、交通・施設・安全の条件が複雑に絡み合うため、関係者との綿密な調整が欠かせません。

本プロジェクトでは、工事期間中も駅は日常的に利用され続けるため、利用者の導線を確保しながら段階的に工事を進める必要がありました。通路の切り替えや仮設動線の整備、案内表示の更新を繰り返しながら、混雑時でも安全に通行できる幅や視認性を維持し、第三者への影響(落下・飛来・汚損・段差による転倒など)を最小化することが強く求められました。さらに、線路近接エリアでは作業時間帯や施工手順に制約が生じるため、限られた条件下でも確実に工程を完了させ、翌日の運行や駅機能に影響を残さない計画・統制が重要となりました。こうした“駅を止めない建設”という前提が、一般的な建設工事以上に、安全性と運用影響の最小化を重視する背景となっています。

この工事の特異性

「営業しながらつくる」=工期も計画も複雑になる
広島駅は“使われ続ける現場”です。通路の切り替えを繰り返しながら施工するため、地上だけでなく地下・地上・上層階の複数フロアにわたって、導線を段階的に組み替える必要がありました。
この「途中の姿」は完成図(パース)や設計図に現れにくく、施工者側が安全な通行幅や切り替え手順を検討し、実装していく“図面にない仕事”が膨大に発生します。
関係者が多い=調整が品質・安全を左右する
駅ビルには商業施設・ホテル・シネマなどが入り、広電様との接続や広島市様のまちづくり、バス・タクシー動線など、多くの関係者が同時に関わります。さらに工事中も駅は利用され続けるため、導線確保や案内更新を含めた“運用しながらの施工”が前提となります。
そのため施工だけでなく、「いつ・どこを・どう切り替えるか」を関係者と合意し実行する調整が、現場の安全と工程を大きく左右するのが特徴です。
線路近接×ハブ駅=第三者安全の要求水準が高い
ハブ駅の線路近接工事では、落下・飛来・汚損など、第三者へ影響を及ぼすリスクを最小化することが必須です。駅構内は常に人が行き交い、時間帯によって混雑状況も大きく変わるため、作業エリアと通行エリアの分離、養生・防護、案内表示の更新などを“その都度”適切に整える必要があります。
「工事を進める」だけでなく、通行環境を常に安全に保ち、駅としての機能と快適性を損なわないことに、時間とコストをかける価値がある現場でした。

広成建設の役割

広成建設は、駅周辺の建設工事において、線路近接を含む領域で施工・調整・安全管理を担い、駅機能を維持しながら工事を成立させる実務を支えました。複数の工区・工程が同時並行で進む中で、関係者間の条件を整理し、工程の優先順位や切替タイミングを現場レベルまで落とし込むことで、全体を“止めない”ための地ならしを行っています。

特に、通路切り替えなどの段階施工では、日々変化する利用者動線や作業条件に合わせて、仮設・養生・案内の更新を繰り返し、工事中の通行品質(視認性、段差、汚れ、動線の分かりやすさ)を維持することが重要になります。現場で発生する“想定外”に対しても、影響範囲を瞬時に見極め、代替手順やリカバリーで工程を戻す判断力が求められました。

JR西日本の建設担当者様とも密に連携し、図面通りの品質確保に加え、公共空間としての駅に求められる安全基準を共有しながら、確認・是正・再確認のサイクルで確実性を高めています。こうした積み重ねが、運行と利用を続けながら工事を進める広島駅プロジェクトを、現場から支える役割となっています。

価値を生むポイントは「図面にない工程」

駅ビルの完成形は図面に描けます。ですが、「工事中に人をどう通すか」「どの順番で切り替えるか」「どこに仮設を置くか」「安全に見せる・守る」といった要素は、現場の状況に合わせて組み立てる領域です。混雑の波や利用者の動き、施工エリアの制約は日々変わるため、図面通りに“つくる”だけでは成立せず、運用を見据えた判断と段取りが求められます。

通路切り替えのたびに、案内サインの更新、通行幅の確保、床面の段差・汚れ対策、落下防止、第三者動線と作業動線の分離などを、漏れなく実装していく必要があります。さらに、切り替え後に「迷いが生まれないか」「足元に危険はないか」「清掃・点検が追いつくか」といった“使われ方”まで確認し、必要に応じて微修正を重ねます。こうした細部の積み重ねが、駅を止めずに工事を進めるための品質となり、プロジェクトの価値を支えています。

水面をまとう駅ビル——ミナモアの“ミナモ”デザイン

新駅ビルの商業施設「ミナモア」は、単なる商業空間ではなく、建築としての体験価値を高めるデザイン性が大きな魅力です。なかでも特徴的なのが、壁面に施された“ミナモ(=水面)”をイメージしたあしらい。光の当たり方や視線の角度によって表情が変わり、駅を行き交う日常の風景に、静かな揺らぎと広島らしい情緒を添えています。

また、移動の中でふと視線を引き留めるように意匠が配置されているため、通路の切り替わりや広場への抜けといった動線の節目で、空間の印象がやわらかく切り替わるのも特徴です。機能性が求められる駅という場所でありながら、素材感や陰影、リズムのある壁面表現によって、商業施設でありながら“都市の顔”としての存在感を生み出しています。こうしたデザインが、広島駅を訪れる人の記憶に残る建築体験へとつながっています。

広電乗り入れ(駅ビル×都市交通の象徴)

広島駅は、路面電車が上層階へ乗り入れる計画が進むなど、都市交通の結節点としての機能更新も大きなトピックです。鉄道(在来線・新幹線)と路面電車、バス、タクシーが同じエリアで接続することで、乗り換えの分かりやすさや移動時間の短縮が期待され、駅前の回遊性やにぎわいづくりにも直結する“象徴的な仕掛け”となります。

一方で、路面電車は一般的な鉄道車両とは異なる特性があり、勾配や運行条件、車両の性能、停車・発進時の挙動など、運用面を含めた検討が必要になります。加えて、乗降場や動線を駅ビル内に取り込むことで、利用者の安全確保、案内計画、混雑時の滞留管理など、建築と運用が密接に関わる設計・施工が求められます。こうした“都市交通を束ねる駅”としての要件が、建築・運用・安全の難易度を押し上げる要素となっています。

プロジェクト概要

施工時期 2019年9月〜2025年9月
施工場所 広島県広島市
概要 広島駅再開発プロジェクト
工法等詳細 S造/制震構造/20F+PH2F(2棟)/延床 約129,637㎡

プロジェクトメンバー

西日本旅客鉄道株式会社
大阪工事事務所 広島建築工事所 係長
石田 恒二様
広成建設から西日本旅客鉄道株式会社へ異動となり、工事長へ就任。その後、副所長に。広島駅再開発プロジェクトの現場を統括した。
副所長
森下 博章
広島支店/同じく2019年から、広島駅南口の修復チームに所属。広島駅南口ビル新築他工事を担当。副所長として、基盤整備部分の現場管理や工事管理業務を担った。広島駅北口の橋上部、高架下の建築に携わった。
副所長
原田 貴士
広島支店/2019年から、広島駅南口の修復チームに所属。広島駅南口ビル新築他工事を担当。副所長として、広島駅北口の橋上部、JR上部と近接箇所、北口周り、高架周りと幅広く建築に携わった。
主任
末友 雄太
同じく2019年から、広島駅南口の修復チームに工事係で配属。広島駅南口ビル新築他工事を担当。主任として、ミナモア西側のホテル近辺一帯の道路建築の現場管理を一人で担った。